「将来なりたい職業ランキング」では常に人気のある「保育士」ですが、現状は離職率が高く、「保育士不足」が社会問題として取り上げられる事も多いです。
今回は、保育士はなぜ離職率が高い理由や、又、離職率の低い保育園は存在するのか、その保育園の見極め方を紹介します。
保育士の離職率や平均勤続年数はどのくらい?
厚生労働省の平成27年の調査データによると、離職率は公営保育所で「7.1%」、市営保育所で「12.0%」で、保育士全体で見ると「10.3%」にもなります。
公営保育所は「公務員保育士」と言われ、雇用条件が比較的安定している事から、全体の離職率よりも低い数字になっていますが、
市営保育所は、施設によって待遇の差、働き方の差がある事が一つの原因とされ、離職率が高い水準となっています。
平均勤続年数は、男性「6.3年」、女性「7.6年」、全体で「7.6年」となっています。
また、保育士資格の登録者が、約119万人いるのに対して、その6割が保育業務に携わらない「潜在保育士」という現状です。
保育士の離職理由として多いのは
一般的な企業に比べてこれだけ離職率が高い水準を保つ保育士ですが、その離職理由について調べてみます。
①給与面
やはり、一番多い理由として挙げられるのが「給与面」です。
保育士の平均年収は、約300万円程度で、その他の職種の平均年収よりも約100万円程度低い金額となっています。
公務員保育士であれば、毎年の昇給が約束されていますが、市営保育所の場合だと、施設によっては昇給がない園もあります。
また、主任や園長という管理職になっても、仕事量が増えるだけで給与が引き上げられるという事も現状では少ないです。
仕事量に見合わない給与面の低さが、離職の理由として最も多いです。
②膨大な仕事量
今では保育士の仕事内容が社会的にも認知されていますが、一昔前までは「保育士は子どもの子守」という程度の認知でした。
しかし、保育士の仕事は肉体的にも精神的にもかなり負担の大きい内容です。
子どもとの関わり、生活指導、行事だけでなく、今では「保護者支援」という業務も保育士の仕事に含まれています。
業務時間内は子どもと関わる時間が殆どで、書類の作成や、翌日の保育の準備などは業務時間外に行う、いわゆる「サービス残業」が当たり前という保育園も未だに存在します。
「持ち帰り残業」という言葉も保育士の中では浸透していて、保育士1人当たりの負担の大きさは、離職と大きく結びついています。
③人間関係
これはどの職種にも存在する問題ですが、特に保育園は女性が多い職場のなので、ちょっとした派閥があったり、保育園という小さな社会だと逃げ場がなく苦しむ人も多いです。
保育園の人間関係は、保育士同士だけでは止まりません。
保護者の中にも理不尽な要望やクレームを発言する、「モンスターペアレント」が存在します。
保育園という小さな環境が故に、逃げ場もなく、発散する事も出来ずに辞めていく保育士は多いのです。
保育士の離職後の進路とは
保育士の離職する理由を聞けば、納得する理由ばかりで、実際に保育士として働いている者とすれば共感が出来ます。
離職した後の保育士は、また保育士として転職を考えるという人は3割程度しかいないそうで、それ以外の人は他業種に転職するそうです。
再度、保育園で働く保育士と、他業種に転職する保育士の主な進路先を紹介します。
①企業所内保育園
保育士の仕事は辛いけど、保育士としてまだ働きたいという人の多くは、「企業所内保育園」で働いています。
企業所内保育園とは、会社内にある託児所のような施設で、社員の子どもを預かります。
一般的な保育園に比べて規模が小さく、基本的な保育内容は同じですが、行事や細かい書類作成などもありません。
ゆったりと保育がしたいという人にオススメな仕事です。
②一般事務
保育士は以外とパソコンを使う事が多く、一般的な書類作成から、イラストなどを挿入したお便りなども作成します。
この技術を活かして、事務職に就く人も多いです。
③接客業
保護者対応などで、人と接するスキルを身につけている保育士は、飲食店やショップの店員などで働く人も多いです。
特に、保育士の時にはあまりオシャレが出来ていなかったという理由から、ショップの店員は人気があります。
離職率の低い職場の特徴とは?求人探しのポイントは?
保育士の仕事は辛く、給料も安い、離職率も高いと紹介してきましたが、実際には離職率の低い保育園もたくさん存在します。
それは、給料がとても高いなどではなく、「働きやすい環境作り」を積極的に行っているからです。
離職率の低い保育園の特徴や、求人でそのような保育園を見つけるポイントを紹介します。
①離職率の低い職場の特徴
求人誌を見ても、保育園の給与はどこも似たり寄ったりです。
元々保育士を目指している人の多くは、給与面を一番に重視してはおらず、やりがいを持って続けたいと思っています。
離職率の低い職場はそういった保育士の気持ちを汲み取り、働きやすい環境作りを積極的に行っています。
給与面以外の離職する理由として、人間関係や、膨大な仕事量が挙げられています。
保育園の基本的な仕事はどこの園でも変わりません。
しかし、働きやすい保育園というのは、「全員で仕事に取り組む」というチームワークを大切にしています。
保育園で一番仕事量が膨大なのは、単数担任です。
1人でクラスの子どもを保育するだけでなく、行事の準備、書類作成、全てを1人で抱えなければなりません。
そこを複数担任のクラスが上手にカバーしている保育園は確実に離職率が低いです。
私の経験上、忙しい人を全員でカバーし合える職場は確実に働きやすい環境であって、人間関係も良い職場です。
チームワークの良い保育園は、自然と子どもの成長も健やかで、その保護者も快く保育園の要望などに耳を傾けてくれます。
そこで、人間関係の負担も確実に軽減されるのです。
②求人を探すときのポイント
上記のようなチームワークの良い働きやすい職場は、はっきり言って、働いてみないと分からない部分でもあります。
求人業だけを見て分かるものではありません。
そこで、求人を探すときのポイントとして、希望先の保育園を見学する事が重要です。
「百聞は一見にしかず」という言葉があるように、実際にその園を見て、子どもや職員の雰囲気を感じる事が大切です。
パンフレットや、園のHPなどを見るのも効果的でしょう。
まとめ
保育士の離職率の高さは深刻な問題です。
ですが、この深刻な問題に立ち向かい、「働きやすい環境」を目指す保育園も実際に多いです。
給与面、残業なし、休日も多いといった完璧な園はなかなか見つけるのは難しいかもしれませんが、
自分の中で優先にしたい条件を明確にし、定着率の高い保育園探しを行ってください!
保育士不足のいま、保育園の求人も毎日更新されています。
給与や福利厚生、職場環境などは保育園によって様々です。同じ地域であっても、雇用条件が大きく変わることも!
すぐに転職する予定がなくても、住んでいる地域で良い求人が見つかったときに、知らせてもらえる環境は整えておきましょう!
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